崩壊家族の行く末は…映画「葛城事件」レビュー

ポスターに不愉快極まりない男が写ってしまっていて申し訳ないです。

が!この映画自体は凄い熱量のある素晴らしい作品ですよ!

作品概要

葛城事件

制作:日本、2016年
監督・脚本: 赤堀 雅秋(千葉県、1971~)
撮影:月永 雄太(静岡県、1976~)
メモ:大注目の劇作家・赤堀雅秋による舞台作品の映画化。とにかく三浦友和がキテる!!

あらすじ

父親から継いだ金物屋を営む葛城清(かつらぎ きよし)は、家の外壁に書かれた大量の落書きをペンキで塗り潰していた。彼の次男が無差別殺傷事件を起こし、死刑宣告を受けたのだった。美しい妻伸子との間に長男と稔が生まれマイホームも手にし、順風満帆だったはずの人生。葛城家では一体何が起こっていたのか―

登場人物

葛城 清(三浦 友和)
金物店を営む中年男性。暴言や暴力で家族を支配しているが、本人は理想的な家庭を目指してのことなので意に介していない。他人に対しても威圧的な態度で「正しいのは自分だ」と強く主張することが多い。大学を出て就職し家族を築いた保を可愛がる一方、アルバイトすら続かない稔には非常に厳しく接している。

葛城 伸子(南 果歩)
清の妻、専業主婦。常に現実逃避しているようにボーっとしていることが多く、しばしば的外れでおかしな発言をする。稔を庇うことが多いので、清からは「稔を甘やかしている」となじられている。

葛城 保
葛城家の長男。妻と2人の子どもと共に暮らしている。真面目で従順な性格であり、清からの信頼は得ている。仕事がうまくいかず解雇されてしまったが、誰にも言えずに独り悩み続けている。

葛城 稔(若葉 竜也)
葛城家の次男。無職で部屋に引きこもりがち。無口で抑圧されているが歪んだプライドを持て余しており、怒ると周囲を激しく侮辱する。いつも責め立ててくる清には憎しみに近い感情を抱き、保には強いコンプレックスを抱いている。

星野 順子(田中 麗奈)
死刑制度廃止の活動をしている女性。死刑宣告を受けた稔と獄中結婚し、「彼の本当の家族になりたい」と必死にコミュニケーションを取ろうとする。

映画『葛城事件』予告編

この家族、みんな詰んでる…圧倒的な閉塞感に思わず苦笑の秀作

いや~…こんなにも苦笑いが止まらない映画は初めてでした。
三浦友和さん、すごいっす…。

監督&脚本を手掛けたのは、今いちばん勢いがあると言われている劇作家・赤堀雅秋さん
映画でいうと、堺雅人と山田孝之がタイマンを張ると話題になった「その夜の侍」も監督と脚本を手掛けています。

「その夜の侍」も本作「葛城事件」も、もともと赤堀氏が舞台作品として発表したもの。舞台版の葛城事件では、新井浩文が次男役をやっていたそう。
彼はほんとにセコい犯罪者役が似合いますよねー。彼の犯罪者役には素直に「好演でしたね!」と言えなくなり(個人的に好演と思ったことはないけど)、そして良い人とか普通の人の役だとすごく胡散臭くて、作品に大ダメージを与えてしまっている。被害者はもちろんだけど、出演作に関わった人たちに大迷惑をかけてると思いますよ。

とまぁ、真正ゲス男と弁護士には思うところも多いですが、ここではやめておきます…

そうそう落ち着いて、「葛城事件」の見どころ行きましょう!

この映画の見どころは、なんといっても清! 清のアクというか毒気が強すぎる!

中華料理屋の絡み具合も強烈なんだけど、わたしが思わず目を逸らしてしまったのは、家を出た伸子と稔の住むアパートに清が乗り込んでくるシーン
その後の行為に唖然とするのは当然だけど、清の圧がとにかく凄まじい。人の生活を踏み潰す侵略者、というより暴君が来たぞ!という黒くて重い存在感が凄まじい。 初めて三浦氏を怖いと思ったわ~。

一方、この緊迫のシーンですら絶妙に入り込んでくるおかしさ。清が部屋に入ったのと同時にヤカンがピ~と鳴るみたいな(笑)。
存在自体が絶妙におかしい星野という女の効果もあり、単純な“犯罪者とその家族の悲劇”になっていない。この家族めちゃくちゃ不快なんだけど、絶対悪!真っ黒!というわけではない。変な親近感が湧いてしまうんですよねぇ。

当人たちにとっては絶対に笑ってはいけない状況。でも傍から見るとちょっと変、ちょっとズレてる、ちょっと意味分かんない、ちょっとしょーもないという小ネタが満載。だけど笑うのはちょっと憚られるくらいの緊張感…ということで、終始苦笑いが止まりません。
この絶妙なおかしさ、ちょっとクセになりそうです。

役者陣の演技力が光りそうな作品だね!

いやはや、役者って凄いと思わざるを得ないですよこれは。
南果歩さんはさすがの鬼気迫る演技だし、稔役の若葉竜也さんも、ヤダもうこの人ほんとイヤ!な青年を完璧に演じています。星野役も田中麗奈さんぐらいの実力がないと実現しなかったのではないでしょうか。

ちなみにわたくし、この家族のダメさイタさに苦笑いが止まらず、「何が凶悪犯罪を生み出すのか」みたいな重たい議題を考える気にはなれませんでした。
客観的に議論できるほど冷静には観られなかったなぁ。これがリアリティというものなんでしょうか。

たしかに清は毒親の極みなんだけどねぇ…。毒親や生い立ちといった一般論で語れない、もっと感覚的な部分にグイグイ迫ってくる作品でした。

まとめ

二度と見たくないけど清のその後が気になってしまう、不思議な映画です。
オススメだけど、物凄く不快なのは間違いないんで、心して鑑賞してください…。

あらゆる犯罪の被害者、被害者遺族のためにも、
全ての犯罪に正当な裁きが下りますように。

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