香川照之が怖すぎる「クリーピー偽りの隣人」感想&ネタバレ

Huluにオススメされたので見てみました。

家でゆるりと…と思ったのに、香川照之が気味悪すぎる!おかげさまでしっかり悪夢も見ました(笑)

作品情報

クリーピー 偽りの隣人

作・公開:日本、2016年
監督:黒沢 清(兵庫県、1955~)
脚本:黒沢 清、池田 千尋(北海道、1980~)
メモ:前川裕の第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作「クリーピー」の映画化。引越し先の隣人がヤバい…!

あらすじ

犯罪心理学者の高倉は、妻・康子と共に新居に引っ越してきた。1年前、当時刑事であった高倉は、殺人鬼の扱いを誤って犠牲者を出し自身も負傷したことで、警察をやめて大学教授に転身したのだった。引越し先の隣家には、中年男性の西野とその娘のが暮らしており、異様な雰囲気の西野に対して高倉は警戒心を抱く。一方康子は、はじめは西野を不審に思っていたものの、次第に西野家と交流するようになる。
ある日高倉は、刑事時代の後輩・野上から、6年前に起きた本多家失踪事件の分析を頼まれる。残された娘・早紀の記憶を探り、失踪した本多夫妻と息子と関係していたと思われる人物の存在を突き止める。本多家の隣家に住んでいた水田氏が怪しいと睨み、野上は空き家となった水田家に向かう。そこで野上は、隠されていた死体を発見し―

『クリーピー 偽りの隣人』予告編

登場人物

高倉 幸一(西島 秀俊)
犯罪心理学者で大学教授。以前は刑事だったが、8人を殺害した犯人の扱いを誤って犠牲者を出し自らも負傷したことをきっかけに、警察を辞めた。家庭のことはすべて妻の康子に任せており、夫婦関係は良好であると思っている。隣人の西野に奇妙な言いがかりを付けられたことから西野に警戒心を抱き、康子が西野親子と仲良くするのを快く思っていない。仕事では、犯罪者や被害者の心理分析を楽しんでいる面があり、たびたび利己的な暴走を見せる。

高倉 康子(竹内 結子)
幸一の妻で専業主婦。料理が得意。はじめは西野に嫌悪感を抱いていたが、澪のことが気にかかり、徐々に西野家と交流するようになる。

西野 雅之(香川 照之)
高倉家の隣人。職業は協会理事だと自称している。どこか話が噛みあわなかったり異様な疑心をのぞかせたりするが、一転して人当たりが良くなったりもする。

西野 澪(藤野 涼子)
西野家の娘。一見普通の女子中学生だが、ある日高倉に衝撃の事実を打ち明ける。

本多 早紀(川口 春奈)
本多夫妻とその息子が失踪した日野市一家失踪事件で、唯一残された娘。事件当時は証言が二転三転したため、証言能力がないとされた。現在は祖母と同居。マスコミと警察に強い不信感をもつが、大学教授だという高倉の分析を受けることに決め、徐々に事件前の記憶を呼び起こしていく。

野上(東出 昌大)
刑事。先輩であった高倉が日野市一家失踪事件に興味を示したことを聞き付け、早紀の分析を依頼する。高倉を犯罪心理学者として信頼している。


絶妙にズレた世界で展開される、最高に“クリーピー”な西野ワールド!

ネットの評価が結構低いんですが、それなりに怖い…というか不気味で不快でした。夢の中で西野みたいな男に付きまとわれたし(笑)。

舞台のような“芝居がかった”世界観

フィクションの映画なので、もちろん俳優陣は芝居をしているわけですが(笑)
この映画全体がすごく芝居がかっているというか、舞台演劇を見ているような感じで、リアルさを追求しているわけじゃないんだなーと思いました。

具体的には、冒頭の警察署のシーン。

高倉が殺人犯の取り調べをしている。その後、犯人が逃走して人質をとり高倉が説得に入るわけですが、ここで犯人が手にしているのはフォーク(先もあまり尖っているようには見えない)。さらに、高倉は犯人に接近し、犯人の挑発に乗り犯人に背を向け、刺される。まるでナイフで刺されたかのような倒れっぷりで痛がる高倉。そして犯人は人質の喉をフォークで掻き切り、警官に撃たれて死亡。
警察署のどこでフォークを手に入れたのかが謎だし、スーツの上からフォークで刺されてあんなふうに倒れて痛がるのも不自然。さらには、人質の首から血が出ているように見えませんでした。以降の展開でも、血はほとんど出てきてない。

もうひとつ、決定的におかしいのは、野上含む刑事みんなが単独行動をしているところ。
今や2人組で行動するのが常識となっているのに、おいおい独りで動くなよバカ!と叫びたくなります(笑)

その他にも、高倉が早紀の分析をしているシーンの照明や西野家内部の様子など、現実っぽくないところが随所にあります。西野の家の中なんて、どんな構造やねん!とツッコミ入れたくなるレベル(笑)

パラレルワールドとも呼べるような、微妙にズレた世界観。
この独特の世界観に入り込めるかどうかが、この作品を楽しめるかどうかの分岐点だと思います!実際コメントを見てみると、低評価をつけている人は「あんなことするわけない」とか「不自然」などの感想が多いですね。

北九州監禁殺人事件を彷彿とさせるというような声もあり、たしかにそうだなと思いました。でも、だからといってこの映画にドキュメンタリー性とかリアルさを求めてしまうと、「なんかちがう…」と常に不満を抱えることになるのでご注意を…。

香川照之のクリーピー演技がめちゃくちゃ怖い

見た目は普通だけど、話してみるとなんとなーく「この人とは関わらないでおこう」と思ってしまう人っていますよね(自分がそうでないことを願う)。

西野は、登場シーンからして絶対ヤバいにおいがプンプンしています。

まず話が噛み合わないし、話し方が妙に仰々しい。そして何より、変に距離が近いのがイヤだ!何の仕事をしてるんだかもよく分からないし、こんな人が隣にいたら即引っ越したい…。
一方で、普通なら口にするにはちょっと恥ずかしいようなお世辞を堂々と言ったり、自信満々に迫ってくる西野に、康子は徐々にほだされていきます。はじめは怒ってすらいたのに…やっぱり信じるべきは第一印象!しっかり肝に銘じました!!

ちなみにこの西野を演じた香川照之さんの演技について、The New York Timesで映画批評を担当するManohla Dargis(マノーラ・ダーギス)さんが、第89回アカデミー賞の主演男優賞ノミネートの予想で香川さんの名前を挙げています。

芝居がかった世界観にピッタリはまった香川さんの西野役。この気味悪さは是非チェックしてほしいです!

サイコパスに取り込まれるとどうなるか?<ネタバレ含みます>

この映画で衝撃を受けたシーンと言えば、
①西野の登場シーン
②西野家内部と処理方法が明かされたシーン
③ラストシーン
です。

①②はクリーピー西野に対するショックでしたが、ラストシーンは「ちょっと意外だな」という意味での衝撃でした。

西野の正体に気付いた高倉はついに西野家に乗り込み、西野と相対します。しかし、そこにはすでに西野の手に落ちていた康子がいて、高倉も捕らえられてしまう。
西野(実際には西野雅之の名を騙っている正体不明の男)は、澪と高倉夫妻、夫妻の飼い犬マックスを連れて、新たな住まいを探しに出かけます。めぼしい家を見つけ、楽しそうに今後の展望を描く西野。ここで彼はマックスが邪魔になると思い、高倉にマックスを撃ち殺すように命じます。そして、銃を手渡された高倉は、マックスではなく西野に銃弾を撃ち込むのでした。


ここまでは予想の範囲内として、興味をそそられたのはこの後の澪の行動
澪は、自分の家に入り込み、両親と兄を死に追いやって自分に始末をさせた西野の死に歓喜し、マックスと走り去ります

西野はマインドコントロールに薬物を使っていました。具体的にどういう薬物かは分からないんだけど、打たれた瞬間にフラフラして思考力が鈍るのと、依存性があるのは確かです。
でも、澪にはこの薬物は使われていないはず。というのも、肉体面では元気そうで学校にも通っているし、高倉に助けを求めたたり母親を殺せなかったりしていることから、マインドコントロールにかかっているとは考えにくいからです。澪が中毒になって学校に行かなくなったら家を探られるおそれがあるし、死体処理係がいないと困るし、澪の存在が西野の異常性を軽減するという効果があるというので、澪には恐怖による支配だけに留めたのではと思います。


なのに、歓喜して西野の死体に駆け寄る澪…こわいー!

家族に殺し合いをさせたにっくき男の死とはいえ、あの歓びようはもう西野の毒にかかってしまったとしか思えなかった…。澪とマックスが走り去る様子は爽やかすぎて、周囲のどんより感と全然マッチしてなくて、とっても気味が悪かったです。
うっすらと目を開けたままの西野の死体も相まって、西野のような人間が死滅したわけではないという暗示にも見えました。

まとめ

低評価の多い作品ではありますが、冒頭から「パラレルワールドの話なんだ」と思って見れば、結構楽しめると思います。

何よりも、香川照之さんの演技は必見です。最高にクリーピー!

ちょっとした話

今回、初めての黒沢清作品でした!この世界観、個人的には結構好きだけど、好き嫌いは分かれそうですね。

国際的評価が高いらしく、1997年の「CURE」で人気を博し、その後の「回路」「トウキョウソナタ」では、カンヌで賞を受けています。
この独特の世界観でどんなストーリーが展開されるのか、他の作品も気になる!

回路 予告編

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