マット&アレハンドロが窮地に?!「ボーダーライン:ソルジャーズデイ」感想

観たぞー!ボーダーライン第2弾!

作品情報

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(原題:Sicario: Day of the Soldado)

製作:米国、2018年
監督:Stefano Sollima(イタリア、1966~)
脚本:Taylor Sheridan(米国、1970~)
メモ:メキシコのカルテル間で内紛を勃発させる極秘作戦の行方は…

あらすじ

米国カンザスシティのスーパーマーケットで、子どもを巻き込む自爆テロが発生。その前に、メキシコとの国境地帯でも、密入国者の一群に紛れ込んでいた男が自爆テロを起こしていた。そのことから政府は、スーパーでのテロ実行犯もメキシコ経由で入国したものと推測し、マット(Josh Brolin)に極秘任務を課す。その任務とは、国境地帯で密入国ビジネスを牛耳るレイエス率いるカルテルと、敵対するマタモロス・カルテルとの間で内紛を起こし、崩壊させるというものだった。
マットは、コロンビアにいたアレハンドロ(Benicio del Toro)をチームに加え、早速作戦実行に移る。まず、カルテルの仕業を装ってマタモロスの弁護士を殺害。次に、マタモロスの報復を装ってレイエスの娘イザベル(Isabela Monar)を誘拐し、テキサスに連行する。マットとアレハンドロのチームは、米国の麻薬取締局DEAを装ってイザベルの救出劇を演出したあと、イザベルをメキシコに帰すべく出発する。しかしその途中、メキシコ連邦警察から奇襲を受け、激しい銃撃戦が始まり―

映画『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』予告編

登場人物

アレハンドロ・ギリック(ベニチオ・デル・トロ)
元検事、現在は殺し屋のコロンビア人。妻と娘を殺害した人間への復讐も兼ねてマットの仕事に協力しており、普段は非常に冷静かつ冷淡である。今回の作戦で16歳の少女イザベルを誘拐することになり、自分の娘に起こったことを再体験し、徐々に変化が見え始める。

マット・グレイヴァー(ジョシュ・ブローリン)
優秀なCIAエージェントであり、政府の極秘作戦など汚れ仕事が得意。傲慢で自信家ではあるが、“兵士”として作戦遂行を最優先にしている。メキシコ連邦警察の奇襲を受けた結果、上層部から方針変更と非情な決断を迫られることとなる。

イザベル・レイエス(イザベラ・モナー)
麻薬カルテルのボスの娘。普段は気が強く高慢な16歳であるが、誘拐され銃撃戦に巻き込まれた際に恐怖で混乱し、アレハンドロらのもとから逃げ出してしまう。

ミゲル・ヘルナンデス(イライジャ・ロドリゲス)
米国テキサス州の国境の街に住む少年。従兄の誘いに乗り、密入国ビジネスで荒稼ぎしているギャングの一員となる。

文字通り「息をのむ」展開の連続…よりドラマティックになった狼たちの死闘!

こんなに緊張しっぱなしの映画あるかよー!
と叫びたいくらい、スリリングで重厚、そしてめちゃくちゃクールな作品でした。

前作を見てから見ると、より深みを感じられる

本作をふまえると、前作はFBI捜査官ケイト(エミリー・ブラント)からマットとアレハンドロを紹介されたって感じですね。こんな怖いおっさんたちがいるなんてショックでしょ?! 信じられないでしょ?!みたいな(笑)

本作では、最初から“狼”たちの目を通して狼たちの世界を見ることになる。前作よりも彼らを身近に感じると同時に、没入感がすごい! 無意識に息を止めていたことが何回もあった。後ろの席の人も何回も深呼吸してました。

没入感といえば、今回もしっかりと「困惑」させていただきました…。

前回は、利用されているだけのケイトがひたすら困惑し、こちらも「何が起こっているのかよく分からない」という不安でいっぱいいっぱい。それが独特の“ライド感”(宇多丸さんから借用)を生み出していました。

今回はマット&アレハンドロだから大丈夫かな~とのんびり構えていたら、まさかの奇襲。誰?!なぜ?!とあたふたしていたら、あっという間に前作と似たような不安の渦に放り込まれることに…。全貌が見えないという不安感は、このシリーズの特徴だと思います。

アメリカ政府のただの推測から始まった今回の混沌。安心して(?)見ていられるはずの狼たちがあたふたすることになり、緊張感が最高潮の状態がずーっと続きます。めっちゃ疲れる。

一方で、ただドンパチするだけではなく、メキシコとアメリカの関係性をリアルに映し出す丁寧な部分もあり、本当に秀逸な映画だな~と脱帽です。脚本のテイラー・シェリダンに拍手!!

もちろんド迫力でおっそろし~暴力描写も健在でございます。スーパーの駐車場でミゲルと出くわしたときのアレハンドロの目つきの鋭さには、ちょっと違う意味でドキドキしてしまいました(笑)

ぜひ劇場の大画面・大音量で!超オススメです!!

善悪にボーダーラインはあるのか?アレハンドロたちの行く末は…

<この先ネタバレあり>

このシリーズに出てくる人たちって、みんなが上位の悪に翻弄されているんですよね。基本的には正義が登場しないという、アウトレイジのような悪のみの世界。

例えば、テロリストに「我々は屈しない」と宣言するアメリカ政府は正義か、といえば、全くそんなことはない。そもそもの発端は、「テロリストがメキシコから流入しているかも」というアメリカ政府の“推測”である。え、そんな見切り発車で大丈夫なの?と思ったら、案の定「まちがってたから作戦中止」。銃撃戦で何十人も殺した後に。挙句の果てに、「汚れを残すな」と、マットにアレハンドロとイザベルの始末を命じる。

今回カルテルの存在感が薄いのは、すべてがアメリカ側の茶番だからである。なんと痛烈なんでしょう…イラク戦争を彷彿とさせる設定ですよね。

今まで常に優位に立っていたマットとアレハンドロも、巨悪の駒でしかないことがハッキリと描き出された。イザベルは「生まれ」という抗えない運命に支配されているし、ミゲルは自ら悪の支配下に入っていく。そして言わずもがな、アメリカでの新しい人生を夢見る密入国者は、悪徳業者の支配下にいる。

それぞれちがう悪に翻弄される人々をいっぺんに眺めると、人間を支配するのは悪なんだろうかと不安になってしまう。じゃぁ何が悪で何が正義かと問われると、その境界があまりに曖昧で分からない。というか、グラデーションになっているだけで、もはや明確なラインはないように思う。

ミゲルがアレハンドロを撃った瞬間に、わたしの中でミゲルは悪へと変貌した。一方で、マットがギャングを一掃したときには胸のすく思いだった。人殺しですら正義と悪のボーダーラインにはならないということに、冷静になってから気付いて愕然とさせられる作品である。

本作をヒューマンドラマとして見てみると、各キャラクターは、本作で明確に人生の岐路に立たされました。

アレハンドロを失ったショックで茫然自失となったイザベルは、マットの言う通りになれば米国の証人保護プログラムに入る。

ミゲルは、ギャングに入り、密入国者の輸送に手を貸し、アレハンドロを撃ったことで、もう元の生活には戻れない。

マットは、今まで忠実に従ってきた組織に背いてイザベルを助けた。これまで通りCIAエージェントとして生きられるかは分からない。

そしてアレハンドロは、イザベルを始末することを拒んだことでミゲルに撃たれ、周囲からは「死んだ」と思われることになった。

色んな形でそれぞれの支配下から外れた彼らがどうなるのか、めちゃくちゃ気になるラスト。絶対に第3弾も作ってほしい!!個人的にはミゲルの再登場に期待ですが(笑)、どうなることやら全く見当もつかないですね~。

脚本のテイラー・シェリダン曰くこのSicarioシリーズはもともと3部作構成らしいので、マットとアレハンドロがどうなっているのか必ず見せてくれることでしょう!第3弾待ってるよー!

ちょっとした話

本作で大注目されたベニチオ・デル・トロ。なんとマット役のジョシュ・ブローリンとは19歳からの付き合いなんだとか。なんてカッコいい2人組なんだ!

前作では英国アカデミー賞助演男優賞にノミネートされましたが、過去には「トラフィック」(米国、2000年)という作品でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞、ベネチア国際映画祭で助演男優賞を受賞しています。このときは、メキシコの麻薬捜査官の役だったそう(笑)
さらには、キューバの革命家チェ・ゲバラの半生を描いた「チェ(28歳の革命 / 39歳 別れの手紙)」(米仏西、2008)では、チェ・ゲバラを演じて2つの男優賞を受賞しました。

最近ではスター・ウォーズやアベンジャーズにも出演しているベニチオ・デル・トロ。渋いおじさん好きな人にはたまりません…!

チェ 28歳の革命 予告編
チェ 39歳別れの手紙 予告編

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