旧友からの最悪な贈り物「ザ・ギフト」感想&ネタバレ

たまたまHuluで見つけたので、さくっと鑑賞。

作品情報

ザ・ギフト(原題:The Gift)

製作・公開:米国、2015
監督:Joel Edgerton(オーストラリア、1974~)
メモ:「引越し先で偶然再会した高校の同級生が、やたら贈り物をくれるんですけど…」

あらすじ

サイモン・カレムは、新しい職を得たのをきっかけに、妻ロビンと共にロサンゼルス郊外の豪邸に引っ越してきた。シカゴではロビンの流産という悲しい出来事があったが、仕事は順風満帆、ロビンとも「また子どもを作ろう」と話し合い、明るい展望を抱いていた。
ある日サイモンとロビンが家具店でショッピングをしていると、サイモンの高校の同級生であるゴードーと偶然再会する。電話番号を交換しその場で別れたが、その日からゴードーはアポなしでカレム家を訪れたり、ワインや池の鯉など贈り物を始める。ロビンは「悪い人じゃない」とゴードーを庇うが、サイモンはあからさまに嫌悪感を見せる。後日ゴード―の家に招かれたサイモンは、二度と家族に近付くなと警告を与えた。すると翌日、ゴードーから贈られた鯉は全滅し、サイモンたちの愛犬が姿を消してしまう。また、日中家にいるロビンは、誰かが家の中にいるという感覚に囚われ、次第に体調を崩してしまう。

映画『ザ・ギフト』予告編

登場人物

サイモン・カレム(Jason Bateman;ジェイソン・ベイトマン)
情報セキュリティ会社で働くエリート。職場での出世も確実視され、美しい妻に豪華な自宅、高級車と、成功を謳歌している。人の中心にいるタイプの人間で、自分の魅せ方がうまくお調子者の面があるが、ひとたび口論になると非常に威圧的で攻撃的な面をあらわにする。

ロビン・カレム(Rebecca Hall;レベッカ・ホール)
サイモンの妻でインテリアデザイナー。ロサンゼルスに越してからは自宅で仕事をしつつ、子どもを授かるために体調管理に気を配っている。性格は非常にやさしく、サイモンがゴードーを悪く言ったりからかったりすることを快く思っていない。サイモンと口論になり傷付いても正義を貫くなど、芯の強さも持ち合わせている。

ゴードー(Joel Edgerton;ジョエル・エドガートン)
サイモンの高校時代の同級生。家具店でサイモンに声をかけ再会を喜ぶが、住所は教えられていないにも関わらずカレム家に一方的な贈り物と訪問を始める。高校時代の思い出話に花を咲かせるが、現在どこで何の仕事をしているかは明かさない。大豪邸にカレム夫妻を招き、「この家は離婚協議中の妻のものだ」と話すが、後日その家の持ち主は全くの別人だということが判明する。

それなりにドキドキハラハラするけど、テーマが曖昧なのが惜しい一作。

スターウォーズのオーウェン・ラーズ役など、俳優としても活躍するジョエル・エドガートンの長編映画監督デビュー作、とのことです。ジャンルはスリラーですかね。

Huluの洋画ページをスクロールしてたら目に付いたというだけで、評価やあらすじのチェックはせずに見ました。最初は普通にドキドキして、ラストはうわわわ~!って感じなので、中盤のブレがもったいないなぁという印象でした。

というのも、序盤はロビンを通してゴードーを気味悪いと思ったり、旦那がつらさを分かってくれへんなーと孤独な思いをしたり、それなりに感情移入できてそれなりに怖い。引越し直後で片付いてない家が不安定な雰囲気を出し、開放的な大きな窓ガラスも心許ない。家の中は死角も隠れる場所も多いんで、やっぱり怖いですよね~!ドキドキ!

で、結構いい感じだったのに、途中で一旦スリルが落ち着いちゃうという…何でやねん!
その後またジリジリと不穏の種をまいてはいるものの、これまでのようなハラハラドキドキは生まれない。ラストに「うげげ」と言わずにいられない極めて不快なネタ明かしがあるものの、すっかりスリラーではなくなってしまって、何だかなぁという気持ちだった。

しかも、中盤の落ち着きのあとは、誰にどう感情移入すればいいかも分からなくなっちゃうんですよね。突然ロビンが遠ざかってしまって、ポツンと放り出された気分でした(・へ・)(笑)

始めは結構ドキドキするし、ラストもそれなりにうわーとなるので、軽い感じでポップコーン食べながら見るのがオススメです!

<この先ネタバレあり>

中盤以降の「何だかなぁ」展開は、「この映画のテーマって何なの?」が伝わってこないことが原因だと思うんですよね。ゴードーの復讐劇…ってことでいいんですよね?みたいな(笑)

これがハッキリしなくてモヤモヤするのは、どこからどこまでがゴードーの計画どおりなのかハッキリしないから。そのせいで、ゴードーがどこまでイカれてて悪い奴なのかハッキリしないからなのです。さらにそのせいで、後半にどんどん追い込まれていくサイモンに同情できないという、分からないことだらけ^^;

ということで、ストーリーの流れを検討してみました!

ゴードーと再会。贈り物&訪問の開始。
(ゴードーが変人で、サイモンに執着していることは確か。でも悪意があるかは謎。)
サイモンがゴードーに警告→池の鯉が死滅、愛犬が行方不明、ロビンが家の中に人の気配を感じ始める。(ゴードーが怒り、サイモンへの嫌がらせを始めることには納得。)
ゴードーから犬が返され、詫び状が届く。
 ⇒詫びつつも、サイモンが過去に何かしたのでは?という疑念を抱かせることに成功。

数ヶ月経過

ロビン妊娠、サイモンの過去を知る
ロビンがサイモンの過去を調べ、ゴードーにしっかりと謝罪するようにサイモンに要求する。
 →不機嫌になったサイモンがゴードーに暴行
ダニーによる自宅襲撃、ロビン出産
復讐の種明かし(赤ちゃんは誰の子?)

こうして見ると、①~③は主に「ゴードーが気味悪くて怖い!」という話。サイモンっていわゆるガキ大将的な人間なんだろうな、というのは感じるけど、あくまでゴートーのおかしさでスリルを与えています。

④~⑥は、サイモンの過去が明らかになる話。やっぱり嫌な奴、というかロビン早く離婚しなさい!と思わずにいられないくらい、サイモンはクズです。ゴードーに会いに行って暴行するシーンなんて、もう鬼畜の所業です。

で、ラストの⑦。ゴードーによる大がかりな復讐の種明かしです。

ロビンの出産当日に、カレム家にゴードーから出産祝いが届きます。中身は、カレム家の合鍵(いつの間に作ってたんだ?!)、ゴードーの偽宅に招待されたときのサイモンの悪ふざけを録音したCD。そして、サイモンに警告を受けた(②)後に始まったと思われる、ロビンの盗撮映像のDVD。この盗撮映像には、気を失っているロビンをゴードーがレイプしたことを暗示するようなシーンが含まれていました。つまり、「生まれた赤ん坊はサイモンの子ではなく、ゴードーの子かも?!」と疑念を抱かせる、とっても不快な復讐なわけです。

ここで重要なのは、ロビンをレイプしたかのような映像が送られてくること。これがなければ復讐が意味を成さないからです。

高校時代、サイモンが悪ふざけでついた嘘のせいでゴードーの人生は壊された。あのとき「本当は何もなかった」とサイモンが事実を話してくれれば、ゴードーの人生は変わらずに済んだのに、という過去がある。この復讐は、ゴードーがサイモンに「本当は何もなかった(ロビンをレイプしていない)」と言わないことで、サイモンの人生に深い影を落とす、というものです。

…ってちょっと待ったー!!!
ゴードーは②の時点で、⑦の復讐を計画していたってこと?!

これはちょっと無理があるのでは…というのが、モヤモヤの理由。
だって④~⑥に起こることって、明らかにゴードーがコントロールできる範疇じゃないんですよね。

②の段階でレイプ暗示映像を撮影しているけど、ロビンが妊娠しなければ無意味。ということは、少なくともロビンの妊娠はゴードーがコントロールしたことになる。って、排卵日のチェックまでしてレイプしたってこと?

それなら「ゴードーの鬼畜野郎!」となるけど、⑤の暴行シーンを見るとそんなふうには見えない…。仮にそうだとしても、鬼畜夫のせいで別の鬼畜にレイプされたロビンがひたすら気の毒なだけで、サイモンには何の感情移入もできませんが…。

ゴードーが危険な人間だというのは記号的には表されているけど、画面上で見てるぶんには特に攻撃性を感じないだけに、どうもチグハグな印象が否めないんですよね。

かなり早い段階でラストの復讐の準備をしていたのはちょっとビックリしたし、無関係なロビンを利用した復讐自体がとっても悪趣味なのでイヤな気分にはなる。が、④~⑥に全くゴードーの影を感じないので、なんだかなぁとモヤモヤして終わるのでした。①~③は良いだけに、もったいなかったですね。

まとめ

細かいことを気にしなければ(笑)、サクっと見るのにオススメのスリラー作品。

監督兼ゴードー役のジョエル・エドガートンは、スペイン・シッチェスで開催されるシッチェス・カタロニア国際映画祭という映画祭で男優賞を受賞しています。何を考えているかよく分からないゴードーに注目です!

ちょっとした話

シッチェス・カタロニア国際映画祭って聞き慣れないなぁと思ったんですが、なかなかに大規模な権威ある映画祭のようで! 過去には、中田秀夫監督の「リング」や北野武監督の「座頭市」が最優秀作品賞を受賞。2016年には、「君の名は。」がアニメーション部門で最優秀長編作品賞を受賞しました。
「ザ・ギフト」の同じく復讐ものでいうと、パク・チャヌク監督の「オールドボーイ」が2004年に最優秀作品賞を受賞しています。復讐三部作のひとつですね。

まだ見たことないから、今度はパク・チャヌク作品でも攻めてみようかな。

オールド・ボーイ 日本語予告

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