
9月は燃料切れスレスレだったので、読書も映画もちょっとヘビー。リハビリを兼ねてとりあえず漫画を。
hontoのオススメにこの漫画が表示されていたんで、期間限定無料公開の1巻をポチった。その後①~⑤のセットを購入しました!
医療系の作品が好きという方、主人公のヒーローが変人だと嬉しいという方、ぜひご一読を。
作者概要
【原作】草水 敏(くさみず びん)
1972年島根県生まれ。『春よ来るな』(講談社、2016~)の原作も手掛ける。
【漫画】 恵 三朗(めぐみ さぶろう)
北海道在住。漫画家。アフタヌーン四季賞2012年秋のコンテスト『彼女の鉄拳』で審査員特別賞受賞。
作品概要
フラジャイル 病理医岸京一郎の所見
発行:講談社、2014~(現在15巻まで発売中)
ジャンル:医療漫画
メモ:超偏屈で超優秀な病理医・岸の活躍を描く、笑いあり涙あり怒りありの医療エンターテイメント!
岸京一郎(きし けいいちろう)は、とある大学病院で働く病理医。病理医とは、生検や病理解剖などを行って、病気の原因過程を診断する専門の医師のこと。各診療科の医師は、彼の鑑別をもとに、診断を確定させたり治療の効果をはかる。岸は強烈な性格から臨床医たちに疎まれながらも、その鑑別には絶対の信頼を置かれている。優秀な臨床検査技師・森井とたった2人で回していた病理部に、神経内科に新米女医・宮崎が異動を申し出て―
レビュー
手塚治虫による名作漫画『ブラック・ジャック』や大人気ドラマ「Doctor X」など、天才外科医を主役に据えた作品は数多くある。実在の外科医を取り上げたドキュメンタリー番組も、テレビでたまにやってますよね。
そんな中、原作の草水氏が主役に選んだのは「病理医」。
患者の前に姿を現すことなく、それゆえ病院の奥のほうに追いやられている。それでいて臨床医に対して絶対的な影響を与える存在。
病院に行って血液検査やら何やら受けると、しばらくしてから (しばしばエラそうな)臨床医に診断を下される。しかしあの診断は、病理医の鑑別に基づいているのです!(おいそこの臨床医、何スカした顔しとんねん!)
ということで、医療の基礎を支える超重要な存在なんですね~病理医さんは。存在知りませんでした、すみません…。
しかし知らないのも仕方ない。なんと日本に2,000人しかいないんだそう。超レアキャラ!
全身の病気の知識が必要だなんて、医者の中でもスーパー高難度だね!
ほんとほんと、どんな脳ミソしてるんだろう…。
そして、医者ながら患者の前に出ない道を選んだということで、変人が多いんだそう。
草水氏いわく、取材で出会った病理医さんたちを総合して出来上がったのが岸京一郎というキャラクター。臨床医がおかしな診断を下そうものなら容赦なく叩きのめす、かなり強烈な男です。
そんな岸先生と一緒に働く森井くん、神経内科から病理に自ら移ってきた宮崎も、種類は違えどなかなかの変人。変人好きには堪らない漫画です。
今回読んだ①~⑤では、末期癌の宣告を受けた青年の話や、製薬会社による真っ黒ドロッドロの治験の話、セカンドオピニオンの話などと共に、宮崎医師の奮闘はもちろん、森井くんの過去も描かれています。
製薬会社の治験の話は、ちょっと怖そうだなぁ…
まぁ本当にねぇ…THEサイコパスって感じの世界ですよねぇ…。もちろん本心で苦しんでいる人たちを救いたいと思っている人もいるだろうけど。
記憶に残るエピソードが多い中でも、丸2巻分のボリュームで描かれた治験エピソードは強烈でした。
MR(製薬会社の対病院営業職)の火箱ちゃんもなかなかの存在感だったけど、彼女は所詮MR(MRの方々すみません)。製薬会社の闇の中に暮らし、新薬の治験を“何が何でも”成功させようとする間瀬営業部長は、まさに悪魔といった描かれ方です。
そんな真っ黒な間瀬部長が火箱ちゃんに放つ、「営利企業」という一言。
病気を治すための薬を作っている製薬会社も、病院を治すための病院も、結局は営利企業に過ぎない。理想を追うだけではやっていけない。利益を追求しないとやっていけない。そして“消費者”である患者は、命のために言われるがまま金を払い続ける。だから莫大な金が動く。
この構図を一言で表すこの言葉。うーん、誰を信じればいいのやら…。
…てな感じで、基本的に医療業界を信用していないわたしのような人は、かなりドンヨリした気分になる部分もあります(笑)。
だけど、悪い人たちがいれば良い人たちもいる。
患者に会うことがないからこそ変な先入観を抱くことなく、データから論理的に病因を見つけ出してくれる岸先生。病理医というのは、感情に流されやすい医療現場の防波堤になっているんですね!
まとめ
5巻まででかなりシビアな医療現場を見せてくれた『フラジャイル』。先を読むのが怖いけど、岸先生たちがいてくれればきっと大丈夫!
宮崎先生の成長も気になるところです。
いや~それにしても、病院と薬に関わらずに済むように、健康に気を付けないと…。
草水さん&恵さんのインタビュー記事もどうぞ!






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