女の怖さと人間の孤独「そしてミランダを殺す」レビュー

「あいつを殺したい」と思ったことはありますか?
その思いを孤独に持て余しているとき、協力を申し出る人間が現れたら、あなたはどうしますか?

作者概要

Peter Swanson(ピーター・スワンソン)

1968年米国マサチューセッツ州生まれ。
2014年に“The Girl with a Clock for a Heart”(邦題『時計仕掛けの恋人』)でデビューし、この作品がLos Angels Times Book Prizeの最終候補となる。2015年に刊行された第2長編となる『そしてミランダを殺す』は、英国推理作家協会(CWA)賞のイアン・フレミング・スチールダガー部門で最終候補となった。

作品概要

そしてミランダを殺す
(原題:The Kind Worth Killing)

発行:東京創元社、2018年
ジャンル:小説
メモ:主要ミステリランキングで絶賛の嵐!突如として現実味を帯び始めた殺人計画の行く末は?

<受賞・ランキング>
・ 英国推理作家協会(CWA)賞イアン・フレミング・スチールダガー部門  最終候補
・このミステリーがすごい!2019年版海外編 第2位
・週刊文春 2018年ミステリーベスト10海外部門 第2位
・ミステリが読みたい!2019年版海外篇 第2位

実業家のテッドは空港のバーで見知らぬ美女リリーに出会う。彼は酔った勢いで、妻ミランダの浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。リリーはミランダは殺されて当然だと断言し協力を申し出る。だが殺人計画が具体化され決行日が近づいたとき、予想外の事件が―。

東京創元社 内容紹介

男性にこそ読んでほしい「怖い女サンプル集」

登場人物のダイアローグを交互に提示するかたちで進む本作。
徐々に素顔が明らかになっていくのは、やっぱりドキドキします。

この作品で最も魅力的なのは、やっぱりリリーでしょう!
燃えるような赤毛に緑の目、真っ白な肌。イメージではジェシカ・チャステイン、もう少し年齢を上げるならジュリアン・ムーアのような感じでしょうか。
アメリカでは全人口の2%しかいないというほど珍しい赤毛をもつリリー。もちろん珍しいのは外見だけではありません。

やさぐれた見知らぬ男のたわごとに本気で賛同するくらいだからね…

そうそう。本気で賛同していようと何か裏があろうと、どっちにしても危険な女であることに変わりはない。
テッドのダイアローグに続くリリーのダイアローグを読むと、彼女がいわゆるサイコパスであることが分かります。女性のサイコパス、これまた稀有な存在ですねぇ。

このダイアローグ形式というのは、リリー・キントナーというひとりのサイコパスの人生、考え方、感情の動きを描くうえですごく効果的。
リリーには独自の倫理観があり、それに従って必要な行動をとっているだけのこと。サイコパスとはいえ人間として生きていて、変わっているとはいえ感情も動く。そういう人間味が自然に描かれていて、リリーのパートには独特の空気が流れています。

まあ…悪いことには変わりないないんだけどね…

“怖い女”ってリリーだけ?

いやいやいやいや。リリーよりタチの悪いのがいますよ!

女から言わせてもらえば、リリーよりも多くの男を毒牙にかけ傷付けるのはこういう女ですよ。内向型のリリーに対して、こちらは外向型ですから。

これまたダイアローグ形式で本音が描かれているので、女の裏の顔をたっぷり堪能できます…ふふふ…。

女性陣のダイアローグと比べると、男性陣の詰めの甘さが際立つ際立つ(笑)
自分の力でうまくやっているつもり。でも実際は女の策略の中に取り込まれている。「あの女は頭軽そうだから大丈夫だろう」なんて甘く見ていたら、本当に痛い目にあうのでご注意を…。

まとめ

他人の考えていることなんて最後の最後まで分からないし、最後になっても分からないままってこともある。だからこそ誰を信じるかは大事なんだけど、慎重に選んでも裏切られることはある。

本質的に孤独だからこそ、それを埋めるために他人を求めてしまうのか。人間とは切ない生き物だなぁ…。

他人を信じるって難しいからこそ尊いんだね。

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