新本格ミステリの不朽の名作!「占星術殺人事件」感想

新本格ミステリの金字塔、ついに読みました!

作者情報

島田 荘司(しまだ そうじ)

生まれ:1948年広島県

経歴:武蔵野美術大学卒業後、ライターやミュージシャンなどを経て、1981年に「占星術殺人事件」でデビュー。松本清張以降「こどもっぽい」とされてきた探偵ものを復活させ、新本格ミステリというジャンルを切り拓き、世界的な評価を受ける。その後も精力的に作品を発表し続けている。また、新たな才能の発掘にも力を注いでおり、「島田荘司推理小説賞」は中国や台湾を含む海外の作品も対象としている。第12回日本ミステリー文学大賞受賞。

<主な作品>
御手洗潔シリーズ、吉敷竹史シリーズ、「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」(1984年、集英社)、「写楽 閉じた国の幻」(2010年、新潮社)

作品情報

占星術殺人事件 改訂完全版

発行:講談社、2008年(1981年発行の同名作品を加筆・修正したもの)
ジャンル:小説
<どんな本?>日本のミステリ小説を代表する名作!ド変人探偵・御手洗潔の登場!

概要

占星術師の御手洗潔(みたらい きよし)と、彼の友人でイラストレーターの石岡のもとに、「40年前の怪事件を解決してほしい」との依頼が舞い込む。その事件は、画家の梅沢平吉がアトリエで殺害された密室事件を皮切りに、彼の娘と姪っ子の計6人がバラバラ死体で発見されたという、日本全土を揺るがせた有名な事件であった。警察のみならず全国の素人探偵によっても徹底的に調べ尽くされたにも関わらず、迷宮入りした一連の事件。鬱のせいで気乗りしていない御手洗であったが、事件に詳しい石岡くんから詳細を聞きつつ、徐々に推理を始める。

和製“ホームズ&ワトスン”登場に興奮!40年前の大事件の謎に迫る稀代の傑作。

いやはや、今までに読んだことがない構成で、ユーモアもあり、悲哀もあり、楽しませてもらいました。

読者への挑戦

プロローグの末尾に、以下のような読者への挑戦が記されています。

本書の進行においても、解答がなされるよりずっと以前に、読者の眼前には解決に必要なすべての手がかりが、あからさまなかたちで示されるであろう。

さらに、御手洗が真実にたどり着いた段階でも、島田氏から

私は読者に挑戦する

と明言がある。

ここまでハッキリと「解いてみなさい」と突き付けられるのは初めての体験。ミステリファンとしてはニヤニヤしちゃいますよね(笑)しかも、占星術やら緯度経度やら記号が多いので、パズル好きな人には堪らない事件。

わたしも実際にノートに色々書き出したりして、あーだこーだと考えてみました。しかし、先人の素人探偵や警察により、どの案も検討済み。御手洗と共に徹底的につぶされるという、つらい体験…。ここまで微に入り細に入りつぶされるのは初めてでした…

日本の“ホームズ&ワトスン”コンビの誕生

前半は完全に安楽椅子探偵。御手洗が石岡くんから事件の詳細を聞き出し、あーでもないこーでもないと推理を繰り広げる。御手洗が鬱っぽいせいもあり、部屋から出る気配は全くなし。
というのも、事件は40年前に起こったもので既に時効を迎えているから、焦る必要がゼロなんですよね。

物語全体の半分に差し掛かっても、まだ動きが無い。いつどうやって解決に動き出すんだろう…これはもしや完全なる安楽椅子探偵ものなのか?

と不安になったところで、ある人物の来訪が。これをきっかけに“タイムリミット”が作られ、やっとこさ御手洗が動き始める。探偵が動き始める前にこんなに時間がかかった推理小説は読んだことがない(笑)

さらに、動き始めたらスムーズに事件解決に向かうのかと思いきや、御手洗は単独行動を始めてストーリーから姿を消すという展開に。再び石岡くんと合流するときには、とんでもない状態になっているし…。

とにかくこの御手洗は、シャーロック・ホームズに負けず劣らずの変人。彼にウンザリしつつも離れられない石岡くんとの関係は、まさしくホームズとワトスンそのもので、ユーモアたっぷりに描かれていて微笑ましい。
特に、事件解決のために向かった京都での2人のやりとりは、ミステリでは珍しいくらいに笑わせてもらいました!

ミステリ界に大きな影響を及ぼした衝撃の真相

結構有名な話ですが、「金田一少年の事件簿」のあるエピソードはこの小説をヒントに作られたということで、ちょっと問題になりました。

金田一ファンのわたしは小学生の頃にそのエピソードを読んだとき、「なんて恐ろしいトリックなんだ!」とショックを受けた記憶があります。そのあと、金田一少年の事件簿の公式ガイドブックを読んで、島田荘司の名前を初めて知りました。そして今回、20年越しに、親玉(?)と相対したわけです。

金田一を読んだことがある人は「あの事件のトリックか?」とすぐ勘付くと思うし、何も知らない人には何も知らない状態で島田氏からの挑戦を受けてほしいので、トリックのネタバレは避けます!


常軌を逸した平吉の遺書を始めとして、事件解決の鍵はすべて、安楽椅子探偵のパートで「あからさまなかたちで示され」ています。
残った可能性を検証したとき、どんな真相が見えてくるのか。デビュー作でこのトリックを出すとは、本当に恐るべしです…。

まとめ

御手洗&石岡ペアが前代未聞の大事件と対決する様子を、ユーモアたっぷりに描いた本作。改訂版には推理に必要な図なども豊富に加えられ、さらに読者が謎解きに参加しやすくなっています。

ミステリ初心者の人には、探偵ものを復活させた衝撃の傑作をぜひ堪能してほしいです
ミステリファンの人は、ぜひぜひ謎解きに参加してみてください!

コメント

タイトルとURLをコピーしました