空前絶後の駄作「すべてがFになる」感想&ネタバレ

ずっと読みたいと思いながら後回しにしていた「すべてがFになる」。
疲れ果てました…

作者について

森 博嗣(もり ひろし)

1957年愛知県生まれ。小説家、同人作家、工学博士。

<主な作品>
S&Mシリーズ(「すべてがFになる」など)、Gシリーズ(「φは壊れたね」など)、スカイ・クロラシリーズ

作品について

すべてがFになる

発行:講談社ノベルズ、1996年
ジャンル:小説
メモ:第1回メフィスト賞受賞。日本が誇る天才・真賀田四季博士を抱える孤島の最先端研究施設で起こる、謎に満ちた密室殺人事件。

あらすじ

国立N大学工学部建築家の助教授・犀川創平(さいかわ そうへい)は、研究室の旅行で妃真加島(ひまかじま)に向かった。妃真加島には、その所有者である真賀田家が設立した最先端研究施設があり、そのトップに立つ天才プログラマ真賀田四季(まがた しき)博士をはじめ謎に包まれていた。今回の旅行は、犀川の恩師の娘であり同学科1年生の西之園萌絵(にしのその もえ)が、愛知県知事夫人である叔母のコネを使って実現させたものであり、萌絵も1年生ながら旅行に付いてきていた。
犀川研究室は、真賀田研究所から離れた場所にあるキャンプ施設を借りて旅行を楽しんでいた。そんな中、萌絵の思い付きで、犀川は彼女と2人で研究所を訪れる。犀川は、幼少期から才能を開花させ、12歳からアメリカのトップIT企業で華々しい業績を収めてきた天才である四季に興味深々であったが、四季には両親を刺殺した過去があり、研究所の一画に隔離されていて、研究所の研究員ですらほとんど顔を合わせない存在であった。
副所長・山根の案内で、四季のいる一画に向かう犀川と萌絵。すると、突然照明が明滅を始め、四季の部屋に通じる扉が開く。その場にいた人々の前に現れたのは、ウェディングドレスに身を包み、コンピュータ制御の台車に乗せられた死体だった―

ネタは面白いけどひたすらに読むのが苦痛な、ご都合主義満載の一作。

……はぁ。

わたしね、この小説はずっと読みたいと思ってたんですよ。面白そうじゃないですか、題名は。でもなんとなく読まないままでいたんですよね。

読まないままのほうが、よかったかもなぁ…

いやはや、「期待していただけに非常に残念です」としか言い様がない。ガッカリ、失望、絶望…

いちおう第1回メフィスト賞受賞作ですけど、どうやらこの作品を売り出すために作られた賞だという話があるらしいじゃないですか。真偽は確かではないけど、そうかもしれないねと納得してしまうレベルだった。賞が付かなきゃ売れなかったんじゃないですかね。っていうくらい、わたしとしては駄作でした。

同じ駄作でも「月光」は怒りがあったんだけど、本作はエネルギーを吸い取る系の駄作。おいおい…おいおい…えぇ…何それ…とウンザリするほどツッコミどころがあって、章が終わるたびに「何を読まされているんだろうわたしは」と遠い目をしてしまった。

事件自体はなかなか興味深いし、たしかに「どういうトリックなんだろう」という思いは残る。だからこそ、息も絶え絶えになりながら読み終えられたんですが、トリックはまぁまぁ、新事実も「知るかよそんな話」って脱力系(ここまで来るとツッコむ気力が残っていない)で、ほんとに…時間を返してくれよ…(泣)

①ものすごく無駄が多い

大まかに言えば、作者の夢想をダラダラ書き連ねただけの創作文ですね。登場人物のキャラ、プロット、テクノロジー、何から何まで「適当にしか考えてないでしょ」ってのが丸わかりの穴だらけ。要するに、無駄だらけ、駄文だらけ。

具体的に言うと、事件の謎ポイントを説明する箇所が何回も出てくる。え、皆さん少なくとも秀才なんですよね?そんなに物分かりが悪いんですか?というツッコミを入れずにはいられない。

もう1つ例を挙げると、犀川の「誰かが嘘をついているのか…?」というセリフ。これ、全員に事情を聴く前に言うんですよ。え、嘘をつくタイミングなかったよね?

こういうおかしな部分が、見開き1ページに5ヶ所はあるっていう感覚でした。さらには、「ほらほら、こういうのかっこよくない?」みたいな文章が多くて、本当に気持ちが悪い。ゴミって精神衛生に毒ですからね。この毒で、読者のまともな思考力を奪っているんでしょうね~。

②登場人物に魅力がない

メインは犀川と萌絵ですが、どちらにも感情移入する要素がなく、さらにどちらも魅力的じゃないという致命的な状況。

作者は犀川に自分を投影して気持ちよくなっているんだろうけど、犀川は正直ウザいナルシストでしかない。脈絡のないクソつまらないジョークを飛ばすが、それはシュールとは言わない。大したことを言ってないのに終始気取った雰囲気で、事件解決に意欲を示したと思えば、数行後に興味なさげに振舞ったりしている。情緒不安定なの?

萌絵はと言えば、設定上かなりのお嬢様、そしてかなりの秀才ではあるものの、こちらも情緒不安定なバカにしか見えない。彼女が賢そうなところは、桁数の多い掛け算を即座にできることくらいだ。ダサい奇抜“げ”な服装なのに、しゃべり方は終始「~なのでしょう?」というお嬢様口調。惨たらしい事件に「面白くなってきた」と言い放った数行後に、死体から目を逸らしたりしている。萌絵が犀川に好意を寄せているのは分かるが、けっこう真剣なシーンなのに急に恋する乙女モードに入るのも不気味だ。かと思えば、突然、人間の死に大した意味はない的な発言をしたりする。多重人格なの?

常識外れな人間を探偵役に据え、そのヘンな思考や行動を推進力にするのは全然かまわないんですよ。ホームズだってポアロだって金田一耕助だって、「ヘンな人しか気付かないよ!」っていうポイントが事件解決の鍵になる。それはご都合主義とは言わないんですよ。

でも、この犀川と萌絵、そもそも情緒(人格)不安定で感情移入できないせいもあるけど、そんなに卓越した性質を持ち合わせてるように全然見えないんですよね。頭良さ“げ”なことを言い合いながら、研究所をウロウロして、やたらと2人で微笑み合ってるだけ。謎解きはといえば、何の脈絡もなく2人は事件の真相を“思い付く”のである。え、エスパーなの?

常識外れな人が主役として成立するのは、愛すべきキャラクターや憧れちゃうような頭脳があるからこそ。要するに、「かっこいいなー!」「こんな探偵になってみたいなー!」と読者が思うからである。ぶっちゃけ、サイエンスの世界を出しといて日本国内で優秀くらいのレベルですか?それで互いを天才かのように褒め合っているコンビには、心底引くだけ。作者の博士としての世界の狭さまで露呈してしまい、恥ずかしくないのかなぁとまで思ってしまった。

コンビという面でも、この2人では全く化学反応がない。だって、似たもの同士っていうか、性別がちがうだけじゃん…。萌絵はそれなりに頭はいいくらいにして、凄まじくワガママ自由奔放で野次馬根性が強い女の子にしたほうが、犀川とのコンビを考えてもかなり自然だと思いますが、どうでしょう。

③新事実も意味不明

四季に娘がいたっていうのはほほうと思ったけど、だから?という先が全く続かない。四季が何を考えてこの事件を計画し実行したのか、全く語られないのである。死ぬつもりだったのになぜ外に逃げたの?とかね。

天才の考えることは分からない…みたいな落としどころにしてますが、それって結論じゃなくて逃げですから。何考えてんのか分かんない系殺人犯といえば映画セブンの犯人がそうだけど、それならそういう恐怖感とか異物感を出してくださいよ。何をしたいのか全然わかんないよ。

まとめ

ひたすらに中身の薄い「月光」は★ゼロでしたが、本作はいちおうトリックがあるという点で★1つです。でも、メインキャラ2人の魅力のなさと支離滅裂な駄文の多さを見ると、わたしとしては「かなりやべー作文」です。すごく疲弊します。誰にもオススメできません!!

とてもプロの作品とは言えないので、どうしても読みたいのであればなるべくお金をかけずに手に入れてください。そして、死体が出てくるシーンとラストの謎解きだけ読めば十分です。それ以外は読まなくても何の問題もないです。というか、読むとエネルギーを吸い取られるので、読まないほうがいいです。

手を出しちゃダメ!絶対ダメ!

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