ミステリを名乗らないで…本田哲也「月光」感想&ネタバレ

丸善でのキャッチ―なポップに騙されて買ってしまった。お金をドブに捨てたも同然。久々の大失敗…。

あ、言葉がきつくてすみません。今回はミステリファンとして怒ります!
この先ネタバレもあるので、不快な方はスルーしてください。

作品概要

月光」(中公文庫、2013)

※2006年徳間書店、2009年徳間文庫からも発行。

同級生の少年が運転するバイクに轢かれ、美しく優しかった姉が死んだ。殺人を疑う妹の結花は、真相を探るべく同じ高校に入学する。やがて姉のおぞましい過去と、残酷な真実に直面するとも知らずに…。ピアノソナタの哀切の調べと共に始まる禁断の恋、そして逃れられない罪と罰を描く衝撃のR18ミステリー。

著者概要

誉田 哲也(ほんだ てつや、1969/8/18~)
小説家。東京都出身、学習院中・高等科を経て学習院大学経済学部経営学科卒業。
<代表作>「ストロベリーナイト」をはじめとする姫川玲子シリーズ、「武士道シックスティーン」をはじめとする「武士道シリーズ」など
<受賞>第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞(「ダークサイド・エンジェル紅鈴 妖の華」、2002)、第4回ホラーサスペンス大賞特別賞(「アクセス」、2003)

リアリティ欠如の薄っぺらな“創作文”レベル。ミステリと名乗らないでね。

簡単に言うと、とってもつまらない!とってもキモい!ですね。

かなり序盤で展開の予測がついた。そして、「この予測どおりなら心底つまらない話だな」と思った。
でも、ミステリには解かれるべき“謎”があるんだし、予測どおりに進むわけない!と思うのが普通。なので、普通に期待しながら読み進めた。しかし……

予測どおりの「心底つまらない話」だった。何なんだこれはー!!

最後まで「いや、これで終わるはずがない!」と祈るような気持ちだったんだけど何のひねりも無しで終了。本を閉じたときはもうハニワ状態。お金と時間を返してくれ。

謎らしい謎がない

この物語、何の謎もないんです。

序盤で把握できる登場人物のキャラクターと状況を組み合わせれば、涼子と羽田の不倫、菅井と瞬の脅迫、涼子の自殺なんてのは想定の範囲内。そんな使い古されたストーリーが、何のひねりもなく進んでいきます。
高校1年生の結花にとっては大きな謎なのかもしれないけど、“R18ミステリー”を手に取る読者にとっては何の謎でもないでしょう。

ストーリーのみならず、キャラクターにも謎がない

この小説、とにかくキャラクターの作り込みが甘すぎる。何の深みもない。全員に多面性をもたせる必要はないけど、キーパーソンの涼子や菅井くらいは謎をもたせてもらわないと…

ちなみに、涼子の隠された真実である「清純そうなのに教師と不倫してる」ことと「悪いことをネタにセックスを強要されている」ことは、ありきたり過ぎて謎にならないからー!!
菅井の両親が死んでるくだり、ダサい心理描写でバレバレですからー!!

という感じで、ミステリーを名乗っていながら、読者がドキドキワクワクするような謎は一切出てきません。

キャラクターもストーリーもご都合主義満載

百歩譲って謎がないことに目をつぶったとしても、ご都合主義たっぷりのつまらないお話には我慢ならない。
ストーリーの展開に合わせるために、登場人物のキャラが簡単に変えられてしまう。これは本当にプロの作品ですか?

特に、他人からの目線でしか語られてない涼子はひどい。もともと性格がハッキリしないうえに、話が進むにつれて完全崩壊。

例えば、瞬の「妹を連れて来い」発言にブチ切れて瞬を刺そうとするほど追い詰められた後日、大した抵抗も見せず菅井にツーリングに連れ出され、普通の女子高生らしくはしゃぐ。え、ご乱心したんじゃないの?普通、どこかに連れて行かれるんじゃないかって怖がるもんじゃないの?

しかも、「妹に手を出すのは絶対許さない」と断言した直後の、菅井を使っての自殺。いやいや、妹守るんじゃないの?危険な瞬を放置して自殺してどうするよ…

涼子目線の描写がないので、読者に「心のうちではどう思ってたのかな…」と想像させるという“逃げ”が
かろうじて 成立している。
もし涼子目線のパートがあったとしたら、どれほどのご都合主義が盛り込まれるのか、ぜひ書いてみてほしいところ。

とにかく、結花・羽田・菅井の3人の視点で事件が語られるのは結構だけども、辻褄合わせや無駄な伏線が多すぎ。

適当に設定を作った証拠として、瞬の姉の存在が挙げられます。彼女が瞬の姉であると発覚するシーンをあたかも「新事実発覚!」というテンションで書いているけど、姉である必要が全くないので何のカタルシスもない。
彼女が正体を隠して結花に近づく必要性はなく、その必要性については作者が結花に「(瞬の姉について)バカなのかな」と言わせることで説明責任を放棄しています。バカは誰だよ(笑)

丁寧で稚拙な性描写がキモい

この文庫には、「R18小説」という謎のキャッチコピーの書かれた帯が付いている。けど、普通の書店で普通に売られているし、本自体には年齢制限を示す文言は何もない。
Amazonレビューでは本気でR18指定と思ってそうな人が何人かいる。こういうコピーは良いわけ?

と、とりあえず出版社に文句をつけたところで(笑)、問題の性描写、特に菅井&瞬による涼子の陵辱ですが。

AVの書き起こし……とかではないよね?(゜_゜)

というレベルの雑さ。涼子の人格設定の甘さも相まって、あまりにも稚拙に見える。迫力はゼロ。これでR18?何のリアリティもないのに?レイプを何だと思ってるの?

この中学生でも考え付きそうな浅はかな脅迫レイプ描写のせいで、涼子がどれほど深く傷付いているのか、全く伝わってこない。そのせいで、涼子の自殺だったと知っても、何のカタルシスもない。

あのさー、扱う技量がないくせに性暴力持ち出すのやめてよね。

その一方、この本で唯一懇切丁寧に(巧くはないが)描かれているのが、羽田目線の涼子との色事であーる。

ただの中年クライシスだろうに、穢したいとか愛してるとか、気持ち悪いにもほどがある…とドン引きするのも、とにかく涼子がセックスシンボルとしてしか一貫性がなく、ふたりの精神的つながりが感じられないから。

この本の発行当時、誉田さんは37歳。あーはいはい…羽田に自分を投影させたんですかね?涼子みたいな子がお好きなんですね〜って感じ。投影するのは勝手だけど、意味がなければただひたすらキモいだけだ。

最後に、逐一説明がくどい!!どうでもいいことを直接的にダラダラ記述するくらいなら、キャラを練り直してくれ、お願いだから。
中身がないくせに、セックス描写だけやたら細かいところがキモいんですよ。

まとめ

ということで、謎がなくてつまらない上にキモいという最悪の本でした。
「女性は読むのキツいかも」という男性のレビューがあるけど、たしかに、これだけ軽薄にレイプを描かれるのは不快極まりないですね。それをR18なんて言って売りにしてる出版社もゴミですね。あ、AVの書き起こしという意味ではR18かもしれないね。

同時期に出された「ストロベリーナイト」も稚拙だなぁと思ったけど、作品固有のものでなく作者由来だったんだと分かってげんなり。
10年以上経った今は、さすがに改善されていることを願います。もう誉田作品は読まないと思うけど。

やっぱり、このミス!で選ばれたことない作家はイマイチ。お口直しに、ちゃんとした良い作品を読まなきゃ…

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